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 大学院では高分子、なかでも生分解性プラスチックの物性について研究していました。具体的にはPLA(ポリ乳酸)の結晶化についてです。以前から、三菱樹脂にエコロージュというPLA原料のフイルムシートがあることを知っており、興味を持っていました。ここなら自分の専攻が活かせそうだと、就職先として選んだのです。入社時には研究職に就くものとイメージしてたのですが、配属は容器製造部の容器課。三菱樹脂は、把手付きペットボトルでも大きなシェアを占めており、それを製造しているセクションです。私はそこで「製造技術」を担当することになったのです。
まったくイメージしていなかったポジションの配属に、当初はとまどいました。生産設備についての深い知識は持ち合わせていませんでしたし、果たしてやっていけるのだろうかと。最初は、ラインに入って機械の操作を体験するところからスタート。製造の仕組みが分かってくると、これがなかなか面白い。こうしたペットボトルというのは、ブロー成形という製法でつくられます。はじめに試験管のような形をした素材(プリフォーム)を作り、それに空気を注入して膨らませて、形作っていくのです。私は半年ほどの実習を経て、製造技術スタッフとしてデビューしました。

 三菱樹脂は、若手にも大胆に仕事を任せてくれる会社です。私も1年目の半ばから早々にテーマを与えられました。高耐熱性のペットボトルの品質を評価するための新たな基準づくり。これまではお湯を詰めて評価を行ってましたが、やはりこれでは温度が不安定で正確な評価が難しい。特に今回開発しているのは摂氏90度レベルにも耐えられるペットボトルです。品質の条件をクリアできないと事故にもつながりかねません。そこで、まったくアプローチを変え、ペットボトル樹脂の密度を測定する機材を導入して品質を評価しようというプランが立てられました。高分子というのは結晶化すると耐熱性が上がります。「製品ごとに、この結晶化レベルならある温度の耐熱性が保証できる」という品質評価基準を作成する、それが私に与えられた使命でした。 もともと高分子を研究してたので、業務そのものはいたってスムーズに進められました。しかし、自分が結論を出したデータが会社の評価基準になって、世の中に出荷される膨大な数のペットボトルの品質を支えるようになると思うと、責任は重大です。入社1年目の私がこんな大仕事を手がけていいのかと我ながら心配になったりしました(笑)。でも任せてもらったことに対して大いにやりがいを感じましたね。
 2年目になると、ある生産ラインを、自分の担当として任されました。そのラインでは1時間で6000本ものペットボトルを製造します。ラインの性能を上げつつ、安定生産するにはどうすればいいか、毎日がさまざまな問題との格闘です。 たとえば検査工程では画像認識によって不良を見分けているのですが、その精度を向上させるための方法を生産技術センターの専門部隊と一緒に検討したり、知恵を絞ったりしています。また、新商品が立ち上がる際には、開発担当が設計したものを試作して評価し、生産の立場から意見を出したりしています。 入社して日の浅いうちから、本当にたくさんの仕事を自分で考えて動かしてきました。上司も「これも人材育成だから」といろんなチャンスを与えてくれます。自分が持っている力を存分に発揮できる環境なので、高分子を素材から理解している強みを活かし、三菱樹脂のペットボトルの生産をさらに進化させたいです。ゆくゆくは、この製造経験をもとに、現場のモノづくりが分かった上での商品開発にも挑戦してみたいと思っています。
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